連載コラム【 旅するようなお茶時間 】vol.5

「ホコト」マネージャーが選ぶ一冊の本
第五回 『南の島のティオ』池澤夏樹/著 (文春文庫)

こんにちは、hanaです。関西では京都の大文字送り火、なら燈花会をはじめ、それぞれの地域でお盆の供養行事が行われています。8月15日の終戦記念日も含め、亡き人に思いを寄せる大切な時期ですね。

コロナ禍が続いていることもあり、海外への旅はなかなか叶いませんが、今回もハヴァナイストリップさんのコンセプト~旅発想からはじまる大人のライフスタイル~に合わせ、一冊の本から時空を超えて心の旅をしたいと思います。どうぞお付き合いください。

今回ご紹介する本は、池澤夏樹さんがはじめて年少の読者のために書いた10篇から成る連作短編集『南の島のティオ』です。旅を続けながら世界を見る作家・池澤夏樹さんにホコトのマスターが強く惹かれていることもあり、カフェの本棚に大切に置かれていたのはもちろんのこと、何か機会があるたびに皆さんに紹介しているとても大切な本です。例えばホコトオンラインショップの紹介記事がこちら。

『ミクロネシアの島のホテルを舞台に、文明国の旅人と異界の精霊との出会いから生まれるファンタジックな連作短編。ティオ少年の明るくとらわれのない語りも魅力的で、夏が近づくとティオに会うためにこの本のページを開きたくなると、ある愛読者は言う(ホコトのマスター)』

表紙のブルーグリーンに白いTシャツが目に鮮やかに飛び込んでくる
『南の島のティオ』池澤夏樹/著 (文春文庫)

島で暮らすティオ少年はお父さんが経営する小さなホテルを手伝いながら、旅人や島の人々と関わっていきます。日々の営みの中で「生きる」ために必要なことを学び、時には予言者であるカマイ婆の力も借りながら、風の向きを読み、空を眺め、潮の満ち引きを観察し、いつも自分で考えて行動するのです。自然が相手ですから思い通りにいかないこともある。科学では証明できない不思議なこともたくさん起こる。でも、それを受け入れて逞しく生きていこうとする姿は、文明社会に暮らす私たちが見失った何かを思い出させてくれます。

読書のお供には、駅前のフルーツ屋さんからテイクアウトしたマンゴープリン。フレッシュなイチゴ、ぶどう、オレンジ、キウイ、りんごの果肉に生クリーム、そして下に濃厚なマンゴー。ホットコーヒーは北摂焙煎所のエルサルバドル。南国に思いを馳せて、おいしくいただきました。

そして装いの話。今回は季節の変わり目にぴったりなハヴァナイストリップさんの羽織ものをご紹介したいと思います。リネンミックスでサラッとした天竺ニット素材のフレアーカーディガンは、熱がこもりにくく、肌へまとわりつく感じもまったくありません。色は優しいライトブルー。

ショッピングモールへのお出かけに、私はブラウンの袖なしワンピースと共に合わせました。外は暑いけれど、店内は冷房で冷えている、そんなシーンにぴったりです。長袖なので日焼け予防効果もありますね。まだまだ制限の多い日々、せめてものリゾート気分を味わいたくてカゴバッグを日常使いで楽しんでいます。

このフレアーカーディガンは裾へ向かうほど網目を増やしフレアーが入るので、風になびくとふわりと綺麗なラインを描きます。女優さんのように肩からかけるだけ、という着こなしもおすすめなのではないでしょうか(中はブラックのドレス、小ぶりなハンドバッグとヒールの靴で颯爽と登場!そんなシーンは私にはなかなか訪れないけれど…)。

お盆を過ぎると日暮れが早くなり、季節がいっきに進みます。次回はチェコの作家カレル・チャペックが書いた『園芸家12ヶ月』という本を紹介しながら、ベランダガーデニングの秋へ向けた準備の話などをしたいと思います。夏の後半もお体に気をつけて、日々の暮らしに小さな楽しみを見つけながら元気にお過ごしください。

文と写真:hana (ウェブサイト「ホコト」マネージャー)

3歳から一貫してピアノとパンが好き。
モットーは毎日のお茶時間を豊かに過ごすこと。
よく読むのは旅や暮らしのエッセイ、小説など。

コラムに登場したカーディガンはこちら♪

yamaoka
連載コラム 旅するお茶時間

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